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 社長コラム
2018.4.1
●塗り替えから学んだ貴重な経験
・クニシマが25年間 新事業として取り組んだ塗り替え
 
 平成4年、創業70周年という節目の年に、社長に就任して以来、今日まで25年間、本業であるプロユースの塗料販売に加え新事業として高機能塗料による塗り替え需要の掘り起こしに全力で取り組んでまいりました。
 
  第一弾は平成6年、火山灰を利用した工場屋根の遮熱断熱塗装「クール工法」を、関西ペイント(当時は中央ペイントが取扱)との協力のもと責任施工体制で始めました。
「クニシマさんが、塗り替え工事を新事業としてやるなら、一度は試してみよう」という工業用ユーザーにも恵まれたおかげで、平成18年までの12年間で、55件・20万㎡の施工実績(全国の関西ペイント特約店トップの実績)を上げることができました。

今でこそ、工場屋根の塗装は、遮熱断熱塗装をするのが当たり前になっていますが、25年前は、まだまだ特殊な塗装というイメージで見られ、その普及には、私を含むセールスマン全員が、実際に温度センサーを含む実演器具を持参、ユーザーの前で実演をして、効果を実感してもらわなければ、なかなか成約には至りませんでした。

工場屋根の塗装用に、ごく普通に遮熱断熱塗料が使われる今となっては、それも懐かしい思い出になりました。
 
  第二弾は平成15年、TOTOが世界で初めて開発に成功した「光触媒塗料」の責任施工販売を始めました。
当時は、「太陽の紫外線の力で塗膜が有機物を分解、さらに親水化した塗膜から雨水によって、有機物汚れが洗い流される」という自然の力だけでセルフクリーニングする、革命的な塗料が製品化されたということで大変な反響でした。
ただ原材料が無機という特殊性により、どんなに改良を加えても施工が難しく、高価である為、反響のわりには普及しませんでした。

さらに10年保証に関係するクレームが絶えず、発売から15年目の平成29年、販売中止。TOTOは光触媒塗料より撤退することになりました。TOTOとしても苦渋の決断だったと思います。
 
 第三弾として、平成21年より旭硝子のフッ素樹脂ルミフロンを水性化した、AGCコーテックのフッ素塗料ルミステージを使った塗り替え専門店「メイクアップショップ」を立ち上げ、代理店として光触媒塗料と並行して販売を行っていたので、TOTOの光触媒塗料販売中止の影響も最小限で済んだことは、不幸中の幸いでした。(旭硝子はフッ素樹脂塗料に関しては、AGCコーテックという100%子会社にすべてを任せていますので、以後、AGCといえばAGCコーテックを指します)

平成21年から取り扱いを始めたAGCのルミステージは、われわれにとって実は「古くて新しい塗料」と言えます。
もともと旭硝子が、日本で初めて、塗料用フッ素樹脂ルミフロンの開発に成功したのは1982年ですから、なんと今から35年前のことです。
 当時は、20年以上もメンテナンスフリーな夢の塗料が日本で開発されたということで、大変な話題になりましたが極端に高価な為、日本で採用された第1号が1983年の「後楽園ホール」、第2号と第3号が同じく1985年の「新宿伊勢丹」「ラフォーレ琵琶湖」、第4号が1988年の「史跡湯島聖堂大成殿(改修)」、第5号が1989年の「新宿三井ビル(改修)」と続いていきますが、当時は「ボンフロン」という商品名でした。

上記5物件のうち「後楽園ホール」は先日塗り替えをしましたが、残りの4物件は30年経過しても、いまだに現役で活躍中です。
実際にあなたの目で確かめることもできます。

その後も、1994年「東京海上火災本社ビル(改修)」1997年「大阪城天守閣(改修)」と続きますが、採用される物件は限られていました。
本当に20年も30年もメンテナンスフリーな塗料が求められていたのは、公共分野でした。

橋梁、送電鉄塔などの鋼構造物、道路、トンネルなどのコンクリート「打ち放し」案件への採用でフッ素塗料「ボンフロン」がブレークしました。
その後「ボンフロン」は我々塗料販売業者なら誰でも知っている商品にとなりました。
現在は橋梁に関しては、歩道橋を含めフッ素樹脂の指定がなされるようになりました。

 
クニシマの新事業[3種類の高機能塗料による塗り替え工事]での経験を通してわかった重要な点は、次の二つに要約されます。

❶製品の耐久性に関するエビデンスを確認することの重要性。
製品の耐久性は、実際に10年、20年経過しないと、本当にわからない。
(実験室でいくら試しても、実際は不確定要素が多すぎて予測は不可能)
TOTOというトイレタリーのトップメーカーですら、10年保証の光触媒塗料に参入して、実験室ベースでは予測もできなかったクレームの為、新規参入から15年で販売中止、撤退となりました。

結局、今回試した3つのトップメーカーの10年保証商品のうち、本当に10年保証に耐える商品は、旭硝子のフッ素樹脂ルミフロンだけであった。


❷.保証書は本当に役に立つのか。
(保証した業者が、10年後に健全な状態であるとは限らない)
クニシマが最初に取り組んだ工場屋根の遮熱断熱塗装「クール工法」でも関西ペイントと、販売代理店であるクニシマと施工業者である塗装店の3者による連帯保証でしたが、やはり実験室ベースでは予測もつかないクレームに悩まされました。
(現在、関西ペイントでは個人住宅への10年保証は一切行っておりません)

参考までに企業の生存率を調べてみました。
(出典 中小企業白書 帝国データバンク)
2011 中小企業白書第3-1-11図として以下のデータが記載されています
1年後  97%
5年後  82%
10年後 70%

5年後に18%、10年後は30%の企業が消滅しているという事実。
これは帝国データバンクの掲載企業140万社の平均ですが、日本にはおよそ260万社の法人がありますので 、実際の生存率はもっと低くなるかも知れません。
このトレンドでは、
11年後  68%
16年後  57%
21年後  49%

「20年経過すると半分の企業しか生存していない」という事実を、よく考えないといけません。
  保証書は、「本当に倒産の確率の低い企業の発行したもの」でないと、意味がないことが、おわかりいただけましたか。
今回も、発売から15年経過しても倒産していないTOTOの保証だったから、10年保証期間の残っている顧客へのメンテナンスができるわけです。
 
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