塗料の基礎知識 |
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■塗料の役割 |
●保護
塗料は、塗装されることによって物の表面に連続した丈夫な皮膜をつくり周囲の環境から保護し、長持ちさせます。 |
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●美観
塗料は物に色・つや・なめらかさ・模様・立体感などの仕上り効果を与え、物を美しく粧い快適な生活をデザインします。 |
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●特別な機能
塗料には保護と美観の他、以下のような特別な働きを持たせることもできます。 |
・電気・磁気的機能・・・・導電、電磁波シールド、電波吸収、磁性、プリント回路、帯電防止、電気絶縁 |
・熱学的機能・・・・耐熱、太陽熱吸収、示温、熱線反射 |
・光学的機能・・・・蛍光、蓄光、遠赤外線反射、紫外線遮断、光電導 |
・機械的機能・・・・潤滑 |
・物理的機能・・・・着氷固着防止、貼紙防止、結露防止 |
・生物的機能・・・・防かび、防虫、汚染、水産養殖、動物忌避 |
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■塗料の原材料 |
●塗膜になる成分
顔料
塗料に色を着けたり、塗膜に厚みを持たせたり、特別の性質を付与するために使用されます。 |
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着色顔料 |
白・・チタン白、亜鉛華他 |
黒・・カーボンブラック他 |
赤・・パーマネントレッド他 |
さび色・・べんがら他 |
黄・・黄鉛他 |
青・・シアニンブルー、紺青、群青他 |
緑・・シアニングリーン他 |
さび止め顔料 |
亜鉛末、鉛丹、亜酸化鉛、シアナミド鉛、りん酸亜鉛、りん酸アルミニウム、モリブデン酸亜鉛、鉛酸カルシウム、ジンククロメート、MIOなど |
体質顔料 |
炭酸カルシュウム、クレー、タルク、硫酸バリウム |
特殊機能顔料 |
アルミニウムペースト、亜酸化銅、ガラスビーズ、マイカなど |
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樹脂
塗膜を形づくる主体となる原料です。 |
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油類 |
亜麻仁油、大豆油、サフラワー油、きり油、トール油、ひまし油、やし油など |
天然樹脂 |
松脂、セラック、エステルガム、タールピッチなど |
合成樹脂 |
アルキド樹脂、アクリル樹脂、アミノ樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、アクリルシリコン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、紫外線硬化樹脂、フェノール樹脂、塩化ビニル樹脂、合成樹脂エマルジョンなど |
繊維素誘導体架橋剤・硬化剤等 |
ニトロセルロース、CAB、エチルシリケート、スチレン、トリレン・ジ・イソシアネート、パーオキサイトなど |
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添加剤
塗料・塗膜を安定にするためや、使いやすくするために使われるものです。 |
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可塑剤・沈殿防止剤・その他改質剤等 |
アルキルアミン、ジブチルフタレート、ジエチルフタレート、ステアリン酸アルミニウム、ベントナイト、メチルセルロース、シリコーン、界面活性剤、ナフテン酸金属石鹸など |
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●塗膜にならない成分 |
・溶剤
樹脂、油類を溶解し流動性を与えるために使用されるものです。 |
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有機溶剤 |
石油系混合溶剤、ミネラルスピリット、トルエン、キシレン、エタノール、ブタノール、IPA、ブチルセロソルブ、ケトン、シクロヘキサン、酢酸ブチル、酢酸エチルなと゛ |
水 |
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■塗料の分類 |
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樹脂の種類 |
一般的塗料名称
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フェノール樹脂 |
フェノール樹脂塗料 |
アルキド樹脂 |
合成樹脂調合ペイント |
アルキド樹脂塗料 |
フタル酸樹脂塗料 |
アクリルアルキド樹脂塗料 |
メラミン尿素樹脂 |
アミノアルキド樹脂塗料 |
メラミン焼付樹脂塗料 |
エポキシ樹脂 |
エポキシ樹脂塗料 |
変性エポキシ樹脂塗料 |
タールエポキシ樹脂塗料 |
ポリウレタン樹脂 |
ポリウレタン樹脂塗料 |
湿気硬化ポリウレタン樹脂塗料 |
アクリルウレタン樹脂塗料 |
ポリエステルウレタン樹脂塗料 |
シリコン樹脂 |
アルキド変性シリコン樹脂塗料 |
アクリルシリコン樹脂塗料 |
シリコン樹脂塗料 |
塩化ゴム系 |
塩化ゴム系樹脂塗料 |
酢酸ビニル樹脂 |
酢酸ビニルエマルション塗料 |
アクリル樹脂 |
アクリル樹脂塗料 |
アクリルエマルション樹脂塗料 |
NADアクリル樹脂塗料 |
塩化ビニル樹脂 |
塩化ビニル樹脂塗料 |
フッ素樹脂 |
フッ素樹脂塗料 |
セルロース |
ラッカー塗料 |
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■塗料の乾燥機構 |
塗料は乾燥してはじめてその機能を果たすこととができます。一口に乾燥といっても、そのメカニズムには、いくつかの種類があり、乾燥の遅速、程度などは素地の状態、使用時の環境とも密接な関係があります。 |
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●乾燥の状態 |
・指触乾燥・・・・指の腹が塗膜にかるく触れたとき、指に塗料が付着しない状態。 |
・硬化乾燥・・・・指の腹で塗膜を強く圧した時、塗膜に指紋がつかない状態で塗膜内部の乾燥反応は大部分終了している。 |
・完全乾燥・・・・塗膜内部の乾燥反応が完全に終了し固化した状態。 |
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*塗り重ねをして良い時期は、硬化乾燥以後です。 |
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●乾燥機構の種類 |
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種類 |
乾燥機構 |
おもな塗料 |
揮発乾燥 |
溶剤が蒸発するだけでそのまま固化乾燥する。 |
ラッカー、塩化ゴム、合成樹脂エマルション塗料 |
酸化重合乾燥 |
塗料中の溶剤がまず揮発し、次いで空気中の酸素を吸収して酸化重合反応を行い乾燥する。 |
ボイル油、調合ペイント、合成樹脂調合ペイント、フタル酸樹脂塗料、フェノール樹脂塗料 |
重合乾燥 |
溶剤を含まず、促進剤、硬化剤を加えることによって化学反応を生じ乾燥する。 |
無溶剤エポキシ塗料、不飽和ポリエステル樹脂塗料(パテ) |
揮発重合乾燥 |
溶剤が揮発すると同時に、塗料中の成分(主剤、硬化剤、促進剤)相互の付加重合によって乾燥する。 |
エポキシ樹脂塗料、ポリウレタン樹脂塗料、アミノアルド樹脂塗料、フッ素樹脂塗料、アクリルシリコン樹脂塗料、 |
熱縮合乾燥 |
溶剤が揮発すると同時に、熱硬化性樹脂あるいは混在樹脂同士が加熱によって縮合重合することにより乾燥する。 |
メラミン樹脂塗料、アクリル樹脂塗料などの焼付型塗料 |
冷却乾燥 |
塗料を加温または加熱して流動体として塗装し、温度の硬化にともなって乾燥する。 |
熱可塑型粉体塗料、ロードマーキング塗料 |
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塗料は、常に進化しています。上記内容に付きましては、一般的なもので、最新性、正確性を保証するものではありませんので、ご了承願います。 |
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